ゆきし野に月の輪のある散歩かな
かさこそ かさこそ 静かな晩だ
じわじわ ざわざわ ぞわぞわ ずわいがに
柿の種ほどの月を肴にする
点と線ながれて すきま風たのし
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そうであることにおどろく苹菓(りんご)かな
五杯目のコーヒーそそぐ朝あくび
ケイコウ燈ひとつふたつ影をいれる
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ひそひそ声のうちに朧はびこる
哲学する猫の体温にあずかる
太陽をぐっと呑みこむ山笑う
焼き太陽 青紫色の沈澱
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紫蘇をつみつつ火色の燃えつきるまで
えそらごと そらにえがいて ひこうせん
ちらちら からから 扇風機の回想
枯れえだにかかる夕日で目をさます
日がおちたとたんたちまち月があらわれた
大アクビついて十七の冬がくる
にわとりのあたまのなかもみどりいろ
花蜂の針のはじめのやわらかさ
えそらごと そらにえがいて十五歳
草笛の譜のアドリブで二十歳