雑沓刺繍

トップページ > 詩をよむ > 雑沓刺繍

こどものように問うことは 2007.08.23

悪書と呼ばれ、蔑まれるものを読みはしても
それらを悪読した覚えはない、という自信は
健全でしょうか、不健全でしょうか。

生命の粘液におう肉体が
どこまでいってもワイセツなら
どうして、心だけ健全でいられるでしょう。

健全と不健全のあいだに
国境をひくことは、健全でしょうか。
それとも不健全でしょうか。

合法、合理的な約束のうえに成立し
健全と指定された芸術に含まれる栄養は
我々にとって、薬でしょうか、毒でしょうか。

それとも、芸術にすらなれない
無害、というものでしょうか。
便所のラクガキほどにも影響しないような。

ことさら不健全なものを好まないように
ことさら健全なものも好まない、そんな
こころは健全でしょうか、不健全でしょうか。

健全な理性こそ、狂気であると思うことは
健全な思考と言えるでしょうか。
それとも不健全な思考なのでしょうか。

爆弾をつくり、それを落とせる理性へ
ヒトをテキと呼び、それを殺さしめる理性へ
親切を利用し、愛を人質にできる理性へ

金をつくり、教育をつくる理性へ
狂気を分析し、標本にできる理性へ
むなしい質問を続けることばは


トップへ戻ります
text end