雑沓刺繍

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タンネトーのおじさんの唄 2007.05.13

目的ということは、ねえ
なぜに、と云って わけもねえ
おいら、歩いていくだけさ
足があるからさ

バスに乗るにも 金なんだ
汽車に乗るにも 金なんだ
おいらの銭じゃ 行けやしね
高くついたら、もったいね

金たかるのは 主義じゃねえ
金かけるほど 持ってねえ
おいら せかしていることにゃ
仕事するのが 身のためさ

さみしいときは、うたうのだ
泣きだすまいと、わらうのだ
ふざけたことは、多いけど
あるだけ、ましかもな

暑さ寒さに つかれては
曇りから、降る雨もある
いやだ、いやだの泣き言で
なんとかなれば、いいのにな

何かいいことねえかとさ
足腰立たねえ、日もあるな
しょうがねえ、とか云うのかな
あたま重いからな

ボロでしのげるところまで
嵐、しのげるところまで
星のきれいなところまで
夢が見られるところまで

おいら、歩いていくだけさ
さみしくたって、おのが身を
あわれむまいと、わらうのだ
生きているからさ


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